美肌と笑顔と幸せを永遠に。
透き通るような美しい肌と人を惹きつける笑顔が魅力的な佐伯チズさん。今年3月にALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症したことを公表されてからも明るく前向きに頑張ってこられたチズさんでしたが2020年6月5日、多くの皆さんに惜しまれながら旅立たれました。美しい女性であるために、自らの体験に基づいた独自のメソッドを開発、世界中の女性たちへむけ発信し続けてきたチズさん。
「HAPPY WOMAN奥入瀬サミット2020」は9月26日にオンライン開催となりました。
1年前の「HAPPY WOMAN奥入瀬サミット2019」にて青森に集まった200名の女性たちを魅了し、勇気づけたチズさんの言葉をまとめました。
– 今の仕事をするきっかけは?
子供の頃から女性に憧れることが多かったんです。きっかけは小学校の先生。スーツを着て口調もおしとやかでとても素敵な先生でした。また、母が映画の仕事をしていたので映画の本をよく読んでいたこともあって、映画や宝塚の女性に憧れるようになりました。
中学生の頃にオードリー・ヘップバーンを見て衝撃を受けました。それまで男の子と遊んでばかりで肌も真っ黒でそばかすだらけ。その時から、私もキレイになりたい!と思い、手足の黒ずみ用クリームを顔につけて、そばかすを取るために毎日毎日ケアするようになりました。もちろん、若いから肌も丈夫だったということもありますが、続けることでそばかすがうすくなっていったのです。
継続は力になる。
なんでも「続けていけば得られる」という考えの基本はここからきています。子供の頃は何もわからずやっていましたが、そばかすをこすると痛いけど、お風呂で肌を温めてからなら痛くない、とか、その頃から実際にやってみて効果的な方法を見つけだしていたように思います。私の温気や冷気などは実はここからきていて、私の理論には全て自分で経験したことが入っているのですよ。
– お仕事で心がけていることは何ですか?
子供の頃に祖父のお手伝いをした時に「お前は手先が器用だな」と褒めてくれたんですね。それが嬉しくて「次は何したらいい? 私がもっとやってあげる!」と張り切って手伝いをしたことを覚えています。祖父は私をよく見て私の得意なことをうまく引き出してくれました。それが今の私の土台ともなっています。
人をよく見ること。観察すること。
カウンセリングの時は、相手の目や表情、手の動かし方、癖などをしっかり見るようにしています。そしてまずはその人の良いところを「褒める」ということを心がけています。そして最後に少しだけ「あなたのこういう癖をやめたらもっとキレイなる、もっと上達する」と伝えます。人によっては叱ることもありますし、褒める、叱る、このバランスを人によって変えてアドバイスをしています。
– マイナスからプラスへの切り替え方とは?
短所は長所にもなり、時には長所は短所にもなります。
自分を知る、大切にする、いつくしむ、そして好きになることが大切。自分のことを好きじゃない人は他人から好きになってもらえませんからね。それにはまず自分の好きなものを線引きして、その理由を探っていくと自分のことが少しずつ見えてきます。自分を知ることで短所を長所に変えていくことだってできるはずですよ。
– 美肌を保つために気をつけていること、続けていることは?
五感をしっかりと磨くこと。そして美味しい旬のものを食べること。旬の食材を食べることには一つ一つ意味があります。例えば、お正月に美味しいものを食べて、冬ごもりした体の中にたまったいらないものを全て出してくれる役目が、たらの芽や豆類などの春の苦味。夏には太陽から体を守ってくれるものを、秋冬には体温を上げるものを食べる。これが農耕民族の日本人がつくった「旬」なんです。五感を磨き季節を感じながら、旬のものを食べれば自然と健康でもいられる、美しい肌もつくれますよ。
– HAPPY WOMANになる秘訣は?
幸せはぬくもりなんですよ。ドキドキ感。
好きな人の写真を見ていれば自然と笑顔が出てくる。幸せな時、人はみんな笑顔になるでしょう。だから、鏡の前で顔に手をあてて笑顔をつくってみて。それで口角もあがるし、ほうれい線もシワもうすくなる。笑顔になるだけでキレイのもとがどんどん出てくる。自分がHAPPYであれば、肌もどんどん応えてキレイになるものですよ。
ーいつも素敵な笑顔で周囲を明るく照らしていたチズさん。
美肌を保つお手入れ方法はもちろんのこと、きちんと四季を五感で感じ、旬のものを身体に取り入れ、そして前向きに生きることが肌の美しさに深く結びついているということを教えてくださいました。チズさんのメッセージは、これからもずっと受け継がれていくことでしょう。ご生前のご功績を偲び、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
Profile
佐伯チズ
美容家・美肌師・生活アドバイザー
1943年生まれ。外資系化粧品会社を定年退職後、エステティックサロン「サロン ドール マ・ボーテ」を開業。これまでに出版した著書は累計500万部超。『美肌革命』(講談社)は、英語、フランス語、ロシア語、ポーランド語、スペイン語、ベトナム語に翻訳され、海外からも注目と集めている。特に中国での人気が高く、中国語版の書籍は多数。講演、執筆活動、雑誌の他、テレビやラジオ出演を行いながら、自身でお肌のお悩み相談やお手入れを続けていた。また佐伯式メソッドを広く世に残すべく、後進の育成にも注力し、成安造形大学の特別顧問も務めた。