【インタビュー】蒲原みどり氏|美術作家

蒲原みどり|美術作家

好奇心と記憶が織りなす表現力

蒲原みどり|美術作家

Profile

蒲原みどり

美術作家

北海道生まれ。自然の風景を過去の記憶と重ねて描いた絵画作品を制作する他、本の装丁や挿絵、広告のビジュアル、ファッションブランドとのコラボレーション、装飾作品、プロダクトのアートディレクションなどを手掛ける。

■主な展覧会:2021年 「蒲原みどり作品展示」PRISTINEプリスティン阪急うめだ本店(大阪)、「明日を担う作家たちJANUARY COLLECTION」大丸札幌店美術画廊(札幌)、2020年 「蒲原みどり絵画展」オリエアートギャラリー(東京)他
■主なブックデザイン:絵本「図書館の子/佐々木譲」絵、ブックデザイン(AHJ出版)、書籍「五十嵐淳/状態の構築」ブックデザイン、背景画(TOTO出版)他
■主なビジュアルデザイン:札幌国際短編映画祭2007年メインビジュアル、PRISTINEプリスティンオーガニックコットン着物シリーズ絵柄デザイン 他

蒲原みどり|美術作家
蒲原みどり|美術作家

インタビュー

■美術作家とは?目指されたきっかけをお聞かせください。

 絵画を中心に、本の挿絵や装丁、広告ビジュアルからファッションブランドのアートディレクション、アクセサリーのデザインなども手掛けています。
器用だけが取り柄なので(笑)、絵画を中心に幅広いお仕事に携わらせていただいており「美術作家」として活動しています。

蒲原みどり|美術作家
蒲原みどり|美術作家

 幼少期は山と海に囲まれた北海道の室蘭で育ち、自然を観察することや好きな絵を描くことが主な遊びでした。自分で描いた絵で本を作ってみたくてホッチキスで中綴じ製本してみたり。お小遣いで買えなかったシールに憧れて、ただの両面テープに絵を描いてオリジナルシールを作ってみたり。実は、このオリジナルシールづくりが今の作品の原点となっていて、花びらなどを紙に描き留めて、ハサミで切り抜き、押し花や標本のように重ねて制作しています。昔から使っているお気に入りのマジックペンで、自分の見た風景を記憶に重ねながら表現してきました。

■キャリアの中で苦労したこと、嬉しかったことをお聞かせください。

 学生時代は札幌は東京だと思っていたし、東京は海外というイメージで、とにかく田舎には帰りたくなかった。好きな絵について学べる大学に入りましたが、卒業間際に絵画だけでは食べていけないことに気が付きました。目指す路や職業もわからないまま貯金をはたいてマッキントッシュコンピュータを購入し、就職先を懸命に探しました。なんとか小さな広告制作会社に就職し、印刷の基礎知識を学ぶことができましたが、4年ほどで体力の限界を感じ退職。「独立することはあなたには無理だ」と厳しい言葉も浴びせられました。

 その後、目の前にあることに真剣に向き合っていく中で、デザイン、建築、ファッション、映画など、様々な業界の偉大な先輩のみなさんとの運命的な出会いがありました。その時いただいた言葉で不安だった気持ちが吹っ切れ、自分の好きなことに向けて素直に行動すると決めた結果、今の私があるのだと思います。

 以前は、誰にでもできる内容のお仕事の依頼が多かったのですが、最近では「自然がテーマなので、みどりさんから湧き出る北海道の香りや温度の感じられるような作品をお願いしたい」といった、きちんと私を見てくれている依頼が増えてきたことが喜びです。

■同じ業界、職種を目指す後輩にメッセージをお願いします。

蒲原みどり|美術作家

 この業界は、年齢制限も性別も問わない、みなさんが柔軟で自由な発想や視点で取り組める素敵な仕事です。私が今まで形にしてきたものやアイデアは、急にひらめいたりするものではなく、全てが幼少期の記憶の蓄積からできています。例えば山に行って、草を摘んで、日が陰ると草木が影絵のようになってうさぎの形に見えたり、持ち帰った草木に付いていた虫の動きをずっと眺めていたこと。そんな風に集積された記憶が、私の中の標本になってうごめいていて、そこから作品が生まれています。

 近年、コロナ禍の影響で思うように外出することが難しくなりましたが、そのような状況の中でも「記憶」は豊かな気持ちにさせてくれました。こんな時こそ脳内の旅をして、懐かしい風景を思い出すだけで幸せに感じる。その記憶を繋いでいくと、忘れかけていたことを思い出したりもする。自身の様々な体験を一つひとつ記憶の引き出しに入れていくと、やがて自分だけの歴史博物館ができていきます。それらの引き出しを持って新しいことに挑戦することを大切にしています。

 私にとって、懐かしい風景そのものが心の落ち着く源であり、原点。あの時、あの瞬間のことを香りや音、お天気で覚えていたりもします。実は、そういう「記憶」の中に「未来」への作品づくりのきっかけが隠れていると思います。そういう意識で日常を見つめると、ご自身のやりたいことやアイデアのかたちへ繋がるのではないでしょうか。

■今後の目標を教えてください。

蒲原みどり|美術作家
絵本を作ることです。

 2012年に、光栄にも北海道出身で直木賞作家の佐々木譲さんの童話「図書館の子」を絵本にするお仕事をしまして、高い評価をいただきました。いずれは絵だけでなく、文をつづることにも挑戦してみたいです。絵本には、知らない世界を知ってもらうための素敵な力があると思いますので、絵本を通じて、世の中の役に立つことができたらいいなと考えています。

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