小巻 亜矢氏|サンリオピューロランド|インタビュー

誰かを笑顔にするために時間を使いたい

2016年度、開館以来最多となる入場者数180万人を記録したサンリオピューロランド。3年前に館長に就任した小巻さんは、心理学やコーチングに造詣が深く、NPO法人で子供や女性向けの講演やワークショップも手掛けている。仕事とライフワーク、共通するのは「誰かを笑顔にすること」。そのルーツとは。

サンリオに入社したきっかけは。

「《ともに生きる仲間たちと信じあい、仲良く生きていくこと。それが私たち人間にとっての本当の幸せ》という、企業理念に強く共感して入社しました。結婚を機に一度退職した後、11年ほどしてから仕事に復帰し、サンリオグループの化粧品事業や企業内ベンチャーの立ち上げなどに携わりました。その後、さまざまな経緯があり、心理学や教育学を学ぶために大学院にて対話的自己理解論を修めたのち、更なる転機が訪れて、ピューロランドでの職に就きました。

就任後はどんな改革を?

「当時は売上や入場者数が低迷していて、空気が停滞していました。意識改革のために、全社員で対話を行う『対話フェス』を実施。ピューロランドへの想いや、自分たちが目指すことを語り合うことで、風通しの良い会社にしたいと思いました。次に『ウォーミングアップ朝礼』です。情報共有やロールプレイングなどを通じて、お客様に接するスタッフのチームワークの促進と接客のスキルアップを図りました。私ができることは本当に小さな一歩でしたが、こうした取り組みを重ねていく中で、働くみんなの笑顔が増えていった感覚があります。

『仲良く』というのはサンリオの理念でもあります。お客さまと仲良くなるためには、スタッフ同士が仲良くないといけませんし、他人と仲良くなるためには、まずは自分と仲良くできることが大切だと思うのです」

《自分と仲良く》というのは、ライフワークとして取り組まれている『ハロードリーム※』の活動にも通じていますね。
「『ハロードリーム』の中では”クラス・アイ“という、自己対話を通して自己理解や自己受容を深めるワークショップを行っています。一台のバスの中に様々な立場や考え方の自分をたくさん書き出してもらい、それぞれの自分の声に耳を傾けるというものです。

自分、というものは一つではなく、色々な自分がいていい。例えば、仕事を持つ母親であれば、《子供ともっと一緒にいたい自分》も、《思いっきり仕事をしたい自分》もいて葛藤するけれどその都度”今日はこちらの自分を優先しよう“と、仲裁する立場の自分も持つことで、心がぐっと楽になります。どんな状況でも幸福を感じられる自分であるために、自己対話というのはとても役立つメソッド。子供たちや女性にぜひ知って欲しいことなので、今後も続けていきたいと思います」

今後の目標を教えてください。

「『みんなを笑顔にすることに時間を使いたい』と思っています。私はかつて、次男との死別を経験し、失意のうちに過ごしていた時期がありました。そのときに「ママが笑っていることがクリスマスプレゼント」という言葉に、はっとさせられました。自分と愛する人たちのために、笑顔でいることの大切さに気付かされました。意識的に笑顔を作って過ごすうちに、少しずつ本当に笑顔になれるようになりました。子育てと仕事に忙しく過ごす中、次々と女性特有のがんや病気を経験し、限りある残りの人生で、何をしたいのか真剣に考えるようになりました。

いろいろしてみたいことはありますが目的を見つめて行けば、『みんな笑顔でいてほしい』だったんです。ピューロランドもNPOの活動も、誰かの笑顔を作るという点は同じ。自分自身の成長をあきらめることなく、笑顔で穏やかに挑戦し続けたいと思います」

小巻亜矢

Profile

小巻 亜矢

株式会社サンリオエンターテイメント取締役
サンリオピューロランド館長

1983年株式会社サンリオ入社。結婚退社、出産を経て化粧品会社にて仕事復帰。2013年東京大学大学院教育学研究科修了。2014年よりサンリオピューロランドに赴任。 NPO法人ハロードリーム実行委員会代表理事、子宮頸がん予防啓発プロジェクトハロースマイル副代表も務める。