一年の計は元旦にあり
「三日坊主」だからといって、「自分って意思が弱いなあ…」と落ち込む必要はありません。そういうふうに脳はできているのです。人の脳は変化を嫌い、「できるだけエネルギーを節約する」という仕組みが備わっています。行動を変えることで損をするかもしれない、という不安も手伝って、結局は元の状態に戻りやすいのです。
新しい習慣がなかなか身につかない理由
自転車の漕ぎ始めって、グッと力がいりますよね。だからこそ「現状維持しようとする力」を上回るだけの小さな成功体験や、「どうしても達成したい」という強い動機づけ、そして継続しやすい環境づくりが大切です。
そもそも目標が思いつかないときは…「奇跡」を起こしてみる
「もし朝目覚めたとき、奇跡が起きてすべてがうまくいっていたら、どんな気分で、何がどう変わっていますか?」
この問いを自分に投げかけると、「本当は何を望んでいるのか」が見えてきます。仕事や人間関係、美容や健康など、ジャンル別に考える「人生の輪(バランスホイール)」も活用すると、自分が力を入れたい分野がクリアになるでしょう。
目標設定のフレームワーク
米国の心理学者エドウィン・ロック氏が提唱した目標設定理論によれば、自分が納得した目標は「曖昧なもの」より「具体的」で「測定可能」な方が、また「簡単すぎる」より「少し難易度が高い」方が、モチベーションを高めて成果につながるといわれています。さらに、ジョージ・ドランの「SMARTの法則」を加えると、目標がぐっと明確になり、行動に移しやすくなります。
1.S=Specific(具体的)
何をどのようにしたいかをはっきりさせる。
例:英語ができるといっても、海外旅行で買い物をしたいのか、英語で会議がしたいのかなど、レベルによって必要なスキルが違います。
2.M=Measurable(測定可能)
結果や進捗を数値や基準で測れるようにする。
脳は達成感を得ることで“報酬系”が刺激され、モチベーションがアップします。
3.A=Achievable(達成可能)
高すぎず低すぎない、自分に合った難易度を設定する。「賭博黙示録カイジ」(福本伸行)を読んでいた時にこんなセリフがありました。 「お前の毎日って今ゴミって感じだろ?どうしてお前が今そうだかわかるか?(中略)バスケットのゴールは適当な高さにあるからみんなシュートの練習をするんだぜ。あれが100メートル上空にあってみろ。誰もボールを投げようともしねぇ。今のお前がそうだ…!届かないゴールにうんざりしているんだ。」高すぎる目標はかえってモチベーションを下げる要因に。ちょっと頑張れば手が届く「適度な高さ」が重要です。
4.R=Relevant(意義・関連性)
自分の夢や願いときちんとつながっているかどうか。
本当はやりたくないのに、他人に言われて仕方なくやるのでは続きにくい。ワクワクする理想の自分と結びつけると効果的です。
5.T=Time-bound(期限のある)
いつまでに達成するのかをはっきり決める。
マラソンでゴールが見えたときにラストスパートをかけるように、「もう少し頑張れば終わる!」と感じるほど集中力が高まります。
まとめ
新しい習慣や目標が三日坊主で終わってしまうのは、脳がそもそも変化を嫌う仕組みをもっているから。落ち込む必要はありませんが、その仕組みを理解し、上手に対策を立てることは大切です。
小さな成功体験で脳を「やる気」にさせたり、自分にぴったりのゴールを設定したりするだけで、続ける力は大きく変わります。せっかくの新年、ぜひ自分が本当にワクワクする目標をSMARTに立ててみてください。きっと一年後には、思い描いた理想の姿に近づいているはずです。
手塚治虫先生に憧れ医師を志す。池谷裕二さん・糸井重里さんの「海馬―脳は疲れない―」を読んで効率的に成績を上げられないかと画策していた高校時代。寝たら忘れるタイプのため、今年は元旦からほぼ日手帳(ONE PIECE magazineシリーズ)を使って航海日誌をつけはじめました。(いつも三日坊主なので宣言しておきます。)