人生100年時代や風の時代、シンギュラリティの到来など、実に様々な変化の兆しを受けながら、「人生」や人生の大半の時間をかける「働く」というテーマについて考えさせられることが多くなりました。皆さんはいかがでしょうか?
アフターコロナとなった今、これまで当たり前だった価値観が180度根底から覆されるようなことも多々起きているのが現状かと思います。
私自身はリーマンショック後に入社をした情報サービスを取り扱うIT企業に入社をして、今年で15年目となりました。3年半法人営業に携わり、以降は中途採用に一貫して10年以上携わっています。
職業柄、常にキャリアについて候補者の皆さんと棚卸しをしたり、考えたりすることが多く、多い時で年間1000件以上の面接・面談の機会をいただき、対話をさせていただきました。今回は「キャリアとの向き合い方」について、社会人歴15年の視点やいち中途採用人事としての視点を踏まえて綴っていきたいと思います。
長きに渡り、キャリアについて考えている私自身も40歳を目前として、自分自身のキャリアを見直し、どうありたいかをここ5年ほど悩んでおりましたので、私自身の実体験も踏まえてご紹介していきたいと思います。
読み進めていただいた後に、キャリアに対してのモヤモヤが「こんな一歩を踏み出してみようかな」と前向きな気持ちになっていただけているととても嬉しいです。
キャリアは自分自身のためのもの
ご自身のキャリアについて考える際、皆さんはどのように取り組んでいらっしゃいますか?日記や手帳に日々あったことを残しながら、振り返りを行なったり、人材紹介のエージェントに登録をし、過去の経験やキャリアをヒアリングいただきながら整理をされたり、職務履歴書を毎年更新されたり、と様々な振り返り方があると思います。
本屋さんにはキャリアに関する書籍が沢山並んでおり、ご自身と合うものを手に取って、順を追って人生を振り返ることも1つだと思います。正解はないので、どんなやり方でも構わないと思います。
ただ1つ、念頭に置いておきたいのは、キャリアは誰のものでもなく、自分のものであるということです。
自分がどうありたいか、どうしたいかを軸として、働く上で譲れないことや大切にしたいことを明確化しておくことが大切になります。当たり前のように思えるのですが、意外にも目の前の条件に目が眩んでしまって、忘れてしまいがちでもあります。そうして起きてしまうのが、「思っていたのと実際に働いてみたら違った」というギャップです。
自分自身がやりがいを持って働けるのはどういう状態なのかを言語化しておくのは非常に大切です。
実はその自分自身の譲れないものが何かを言語化するのが結構大変なのです。顕在的なものはすぐに分かるのですが、自分自身でも気づかずに大切にしていることもあるため、様々な観点で自分を見つめ直すことが重要になってきます。
私自身の体験になりますが、現在小学2年生と年長の子供がおります。20代後半からリーダーポジションを任されるようになり、仕事もある程度の裁量を与えられるようになり、メンバーマネジメントにも携わるようになりました。管理職を目指す女性が集まる異業種勉強会への参加もさせていただいていた矢先に第一子を妊娠、そして出産。時短勤務で復職し、1年も働かないうちに、第二子を妊娠し、出産。再度時短勤務で復職し、現在もリーダーポジションを担い、チームマネジメントを行なっています。
20代だった私も30代も気付けば中盤に入った頃、「私はこれからのキャリアをどう築いていけばいいのだろう?」と誰も答えを教えてくれない悩みに葛藤し始めました。
仕事は楽しく、やりがいもある。だけど何か物足りない、このモヤモヤはなんだろうと考えるようになりました。モヤモヤも自分だけで考えるだけでは限界があり、社内外問わず、様々な機会に足を踏み入れてみることにしました。
今の働き方や仕事にモヤモヤした気持ちや不満がある時は、必ずありたい姿と現状にギャップがある状態です。
・「ライフワークバランスをしっかりつけて働きたい」
・「成長感を感じられる仕事にチャレンジしたい」
・「もっと手触り感のある仕事がしたい」
・「切磋琢磨できる仲間と働きたい」
・「年収をもっと上げていきたい」
大なり小なり様々なギャップがあると思います。そのギャップを認識し、特定することが第一ステップにもなります。
なかなか言語化が進まない時のススメ
そうは言っても自分自身一人ではなかなか言語化するのは難しいので、ありとあらゆる観点から自分のことを見つめ直すことがオススメです。私のオススメは以下4つです。
1)社内で相談できる相手を見つける
2)社外で新しい人脈作りをしてみる
3)キャリアの相談を第三者にしてみる
4)自分をよく知る友人に相談してみる
1)社内で相談できる相手を見つける
自分より少しばかり上の年次の先輩を見つけるのがポイントです。あまり置かれている境遇が違いすぎても、「あの人だから‥」と思ってしまい、その後のアクションにはなかなか繋がらないので、出来るだけバックグラウンドや境遇が似ている方がいいと思います。
今のモヤモヤを話し、フラットに「なんでそう思うの?」と問われるだけでも、ハッと我にかえる瞬間や自分の思考の癖、何度も言っているワードなどに気づきます。今携わっている業務やこれまで築いてきたキャリアを俯瞰的に捉えることが出来る場にもなります。
2)社外で新しい人脈作りをしてみる
現代では様々なオンラインコミュニティや勉強会が至る所で実施されています。普段のコンフォートゾーンを抜け、自分がいつも身を置いている場所ではない所での出会いは思いがけない発想に繋がることがあります。私は小林照子先生が立ち上げられたアマテラスアカデミアに「自分を変えたい!」という一心で応募をし、同世代の方々との繋がりを経て、価値観や考え方の幅がグッと変わりました。
3)キャリアの相談を第三者にしてみる
社内ではなかなか言えない本音もあるので、利害関係のない第三者にキャリアのモヤモヤをぶつけてみることをオススメします。冒頭にも触れた人材紹介エージェントに登録し、面談を受けてみるのも1つですし、興味がある求人があれば選考に進んでみるのも1つだと思います。
面談も面接もこれまで自分自身がしてきた経験を深くヒアリングをされるので、自ずと棚卸しの機会になります。また様々な観点で質問されることによって、自分の大切にしたいことが浮き彫りになってきます。私も日々の業務で面談を対応させていただく際は自社の採用に合うかどうかは一旦横に置いておいて、その方が何を望んで転職を検討されているのか、どういう転職軸で動かれているのか、それはどうしてなのかをじっくり聞きながら棚卸しさせていただいています。
一人で考えるよりも、これまでの経験の引き出しをいろいろ開けてもらいながら、会話が進むので、解像度はグッと上がります。ただエージェントも企業の人事もビジネスではあるので、どうにか採用決定に繋げたいという思いで動いていますので、その点を理解して対峙することが必要になります。
4)自分をよく知る友人に相談してみる
極め付けはやはり自分のことを自分以上によく知る友人だと思います。これまでの話を踏まえてもらうアドバイスは非常に的確です。私の場合も自分自身では気づいていませんでしたが、長らく同じような悩みを口にしていたようで、友人には「いつもそれ言っているよね」と言われる始末でした。いつも口にしているキーワードに実は答えが隠れていたりします。
この4つを踏まえると、自分の心が躍動するものと躍動しないもの、がおもむろに浮かんできます。そうすると、今の立場から上を目指すのがいいのか、はたまた社内で別ポジションにアサインしてもらうのが賢明なのか、新しい機会を求めて転職をするのか、フリーでチャレンジするのか、など様々な選択肢が目の前に広がってきます。
もし会社員の方であれば、昇進や異動が最もハードルは低いと思います。ですが、思い描いたものが手に入らない時や手に入るには時間がかかったり、見込めない場合は思い切って転職を検討してみるのも1つの手段だと思います。特に現職中の転職活動は、仮に内定が出ないままで、終わってしまっても仕事を失ってしまうというリスクはありません。
キャリアは貪欲に掴みに行くもの
キャリアは船に例えられることが多いですが、船のオールは自分の手に握られています。待っていても思い通りのキャリアは手に入らず、自分から掴み取りに行く必要があります。40代を目前に控えた私が20代の自分に言葉をかけられるとしたら、「もっと声をあげて、自分のやりたいことを周囲に発信すべし!」と声をかけます。
「置かれた場所で咲く」という言葉は好きな言葉の一つでもありますが、異動で様々な機会を経たからこそ、いざ自分がどうしたいかを考える際に何がしたいのか分からなくなってしまいました。特に日本の風潮として、声を大にしてどういうキャリアを築いていきたいかを発信するのは気が引けてしまうというのも事実です。
ですが、キャリアは自分のものであり、人生も自分のものです。思い描いたキャリアを歩んでみませんか?大きく変えるのに抵抗がある場合は副業からスタートする、といったスモールスタートもしやすい時代となりました。自分のキャリアは自分のもの。もっともっと欲張って、一度きりの人生を自分らしく、楽しんでいきましょう!
新卒から勤めるIT企業で人事に携わりながら、ブログ執筆などの発信活動にも従事。プライベートでは、小2・年長の2児の母。キャリア×子育ての両立の体現に日々奔走中!