何を隠そう、私はとにかく“物が多い”人間です。
子どもの頃からおしゃれが大好きで、気に入ったお洋服に囲まれて暮らすことが、自分の精神の安定にもつながっていました。
バーゲンに行くと「何か買わないと…」と特に欲しい物がなくても購入してしまったり、SNSで勧められたお洋服を考えずに買ってしまったり。物を減らす生活とはほど遠い毎日でした。
「フランス人は服を10着しか持たない」に憧れて
少し前に話題になった『フランス人は服を10着しか持たない』という本。
実は私も「所有物を減らしたい」と思いながら、この本を手に取ったことがあります。
SNSでも“ミニマリスト”という言葉をよく目にするようになり、憧れはあるものの「自分には無理」とどこか諦めてもいました。
しかし、パンパンに詰まったクローゼットを見るたびに「いつか片付けなければ」とストレスを感じていたのも事実です。
“ニット2着”なんて到底ムリ。でも「物が少ない暮らしは身軽そう」と、少しでも近づけたらという気持ちが芽生えました。
クローゼットの現実と向き合う
改めてクローゼットを開けると、「着られる服が多すぎて、どこから手をつけたらいいのかわからない」状態。
でも、ここは一念発起。少しずつでも減らす方向に進めようと決めました。
平日は職場で着替えるため実際に服を着ている時間は短く、どれも“飽きるまで着た”という実感もありません。
手放すタイミングがわからず、ただ溜まっていく──そんなサイクルを断ち切ることにしました。
スマホメモで「持っている服」を見える化
まずはスマホのメモ機能を使い、シーズンごとに持っている服をすべて書き出しました。
すると、黒のノースリーブワンピース、白シャツ、黒や白のパンツなど、似た服ばかりを何枚も所有していることに気づきました。
さらに「この夏、何回着たか」をメモしてみると、想像以上に着用回数が少なく、一度も着なかった服も多数。
“書き出す”という作業が、現実を突きつけてくれました。
フリマアプリと「思い切る勇気」
次に取りかかったのは仕分け。
まだ新しく売れそうな服はフリマアプリへ、それ以外は思い切って処分。
いわゆる“プチプラ”のお洋服も、この機会に手放すことにしました。
もちろん、まだ「一軍服だけ」という理想には遠いですが、クローゼットはかなりスッキリ。
不思議と、一着一着への愛着も増したように感じます。
服を買うときも「安いから」「かわいいから」ではなく、“本当に必要か”を吟味するようになり、無駄遣いも減りました。
ぼんやり「服を見に行こう」とデパートを歩く時間も減り、時間の節約にもなりました。
「持たない暮らし」がもたらした変化
メイク道具や食器、服飾小物、嗜好品も同様に“今あるものを大切に使い切る”意識に変わりました。
なくなる前に買い足すことをやめ、壊れるまで使うように。
物が少ないと、選ぶ時間・片づける時間も減り、結果としてお金も時間も節約できている実感があります。
衣類と地球の関係
衣類の処分方法を調べる中で、私たちの服の“ごみ”が地球環境に深刻な影響を与えていることを知りました。
また、ファストファッションの安さを支える背景に、発展途上国での低賃金労働があることも学びました。
「安い=悪い」ではありませんが、日々の何気ない行動が地球規模の問題につながるという事実は、私にとって大きな気づきでした。
今あるものを、愛着をもって
これから大好きなニットの季節がやってきます。
今年の冬は新しい服を買うのではなく、手持ちのニットを大切に、愛情を込めて着たいと思います。
そんな風に季節の移ろいを感じながら、自分らしい“心地よい暮らし”を少しずつ育てていけたらと感じています。
【記事】足立未央(外科専門医/乳腺外科専門医/癌薬物療法専門医/遺伝性腫瘍専門医/医学博士))
総合病院で乳腺外科医として勤務。学生時代は軟式テニスに明け暮れ、そこで培った“スポ根精神”で日々奮闘中。最近はフルート演奏や歌舞伎鑑賞など文化的な趣味にシフト。自然の豊かな場所に行くと心が洗われるという。















































