【もしかしたら更年期?】結局何科に行けばいいの?

「眠れない」「イライラする」「疲れが取れない」…。日々忙しい毎日を送るキャリア女性にとって、病気じゃないけど、何となく不調。そんな体や心の状態は、案外多いと思います。実はそれ、更年期症状の可能性があります。

更年期障害には、たいへんに個人差があり、症状もいろいろです。近頃では、更年期障害により仕事へマイナスが生じる「更年期ロス」が話題になり、さらにそれによる「更年期離職」の経済損失は6,300億円と試算され、世の中がざわつくきっかけに。2030年には人口の半分が50代以上(総務省統計局人口推計)になることを考えると、これは大きな社会問題です。

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ちなみに更年期は期間のことを指し、女性は平均50.5歳の閉経前後5年間ほどの約10年間、男性の場合には閉経のような目印はなく、40代以降から徐々に、また50~70代のいつでも始まり、目安となる期間も決まっていません。更年期は思春期と同じように、誰にでも訪れるライフステージの一つでホルモンの節目。その時期に、女性の場合は女性ホルモン(エストロゲン)、男性の場合は、男性ホルモン(テストステロン)が減少することに加え、心理的なことや社会的なことが交わり、体やこころに様々な不調をきたすことに。その症状を総称して更年期障害と言います。

「これって、もしかして更年期?」。そう思った時、皆さんはどうしますか厚生労働省が行なった「更年期症状」に関する意識調査では、女性のうち40代で28.3%、50代で38.3%、60代で27.7%が更年期障害の可能性があると思っているそうです。その一方で、医療機関を受診していない割合は、40代81.7%、50代で78.9%とか。また、ほとんどの人が症状を我慢する、という結果も出ています。

更年期症状・障害に関する意識調査(令和4年厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/undou/index_00009.html

更年期、結局何科に行けばいい?

「何科に行っていいかわからないし、敷居が高い」という声をよく耳にします。また、症状によっては「たらい回しになり、疲れ果て諦めてしまう」という声も。そんな時に、気軽に話を聞いてくれる女医さんがいたら…。実はいました!フリーの産婦人科医として働く関口真紀先生は、「婦人科のお悩みトリセツ」を開設し、特に更年期世代に向け「正しい」「必要」な情報を草の根で伝えます。女性特有の不調に悩む女性たちに向け、SNS、メルマガなどで婦人科の基本のイロハを発信する関口先生に聞きました。

【プロフィール】関口真紀先生(産婦人科専門医/医学博士)
関口真紀先生

公立病院で研修後、大学病院でガンの患者さんの治療を担当。出産後は健診クリニックに勤務し、年間6000人以上の子宮頸がん検診を担当。現在はフリーの産婦人科医として勤務。SNS、メルマガ、セミナーでは、生理痛、生理前のイライラ、更年期について、そのしくみやセルフケア、治療法について発信中。病院に行く前に、ちょっと聞いておきたいセルフケアや病気のことをお伝えする「婦人科お悩みトリセツ」主宰。病気や更年期を軽やかに乗り越え、元気に笑顔で活躍する女性を増やすお手伝い。

婦人科のキャリア26年、フリーランスの産婦人科医!?

「命の誕生に立ち会える」ことから、産婦人科医になることを選んだ関口先生。20代の頃、子宮がんの患者さんと出会い、婦人科のがん治療に従事したいと考えるようになりました。しかし。結婚、不妊治療、出産、子育て、転勤など、泊まり込みが多く朝〜晩まで24時間体制の勤務医の生活は長くは続けられないと、自身のキャリア形成の中で、フリーランスの道へとシフトしたと言います。

フリーランスの医師?!そう言うと、どうしてもブラック・ジャックやドクターXなど、孤高の人を思い浮べてしまいますが…。病院と個人契約したり、派遣事務所に登録したりと、医師にも色々な働き方があるようで、現在の関口先生は子育てなども一段落し、子宮頸がんの検診を専門にしたいくつかのクリニックに勤務。その合間をぬって、今までの知見や経験を生かしnoteやインスタで発信、アドバイスを行い、多くの女性の救世主的存在となっています。

「産婦人科は女医が働きやすく、また患者さんも同じ同性ということで相談しやすいというメリットがあると思います。女性特有のがんの検診をする時に問診表を書くのですが、よくよく話を聞いていくと、不調がどこから来るのか分からない人、症状が多すぎて気づいていない人など、『それって更年期ですよ!』という人が多い。そんな人にはアドバイスの一つとして、症状にそった専門医を紹介することも多いですね。医師に相談したいことのトップが、更年期について知りたい。ということで、多くの人たちが悩んでいるのだなと実感しています」と関口先生。

更年期の症状は、なんと300以上もある

更年期の症状は、その時によって、軽かったり重かったりします。それは、私達の心と体が密接に関係していて、ストレスや環境にも大きく左右されるからだと言います。更年期の症状はとても多く、なかには300以上あるという説も。つまり、よく聞く「ほてり」や「のぼせ」だけではなく、不調の多くが更年期にみられるそう。特に女性の場合、肩こりや頭痛に悩む方も多く、それらを更年期としてケアすることも大事です。

一方で、「それ誰から聞いたの?」というような都市伝説的な情報や、明らかに間違っている情報も多いのだと言います。そんな誤りを解消しようと、5年前から資料を使ってインスタライブをするようになったとか。その分かりやすさが評判を呼び、あっという間に口コミで広がって今ではフォロワーは2,146人に(2023年7月現在)。関口先生自身も「手のこわばり」「疲れやすい」「首の後ろに大量に汗をかく」「眠りが浅い」など、まさに今更年期を体験していて、その生々しいリアルを、アドバイスとともに伝えています。すべての悩める更年期世代に元気を与え続けている存在です。

かかりつけ医を持つ!受診のススメ

「更年期の症状を周りに伝えた時、そんなの気のせいじゃない?とか、言われることは多いかもしれませんね。結果そのことで、相談や受診ができなくなることも。更年期=おばさん、というような、ネガティブなイメージが蔓延していることも否めません。病院にいく基準は、日常生活が大変かどうかです。仕事に集中できない、家事ができない、人間関係に影響がある。そんな時は、迷わず受診することをおすすめします。更年期世代は、たくさんの不調をかかえることが多く、いろんな科で診てもらってもよくならない。そんな声を聞きます。もし、内科、耳鼻科、整形外科などで大きな病気はないと言われた時は、婦人科で症状を相談してみてください。更年期外来、女性外来など、更年期特有のお悩みの相談にのってくれる、専門外来を開設しているところもあります。いざとういう時には、オンライン健康相談などを利用してみるのも手」。

まずは、気軽になんでも相談できる「かかりつけ医」を見つけるのがおすすめ。

参考にしたい

更年期障害の症状や悩みの窓口まとめ
https://www.nhk.or.jp/minplus/0029/topic054.html
(NHKみんなでプラス)

女性の健康推進室/ヘルスケアラボ(厚生労働省)
https://w-health.jp/

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働く女性が知っておきたい〈カラダの不調〉と向き合うコツ【更年期編】
https://www.recruit.co.jp/sustainability/iction/ser/woman-healthcare/006_01.html

そうは言っても、婦人科に行くのはハードルが高いものです。ただ、関口先生によると「もしかしたら更年期?」と思ったら、すぐにセルフケアをすることで症状が改善したりすることもあるそうです。できることなら上手に向き合って行きたいものですね。次回、後編で詳しくお伝えします。

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