人生100年時代とコミュニティの関係性

人生100年時代が現実味を帯びてきた現代において、私たちの生活様式や価値観も大きく変容しています。この新たな時代を豊かに生きるためには、健康や経済的安定ももちろん重要となりますが、人と人とのつながり、すなわち「コミュニティ」の存在が欠かせません。

ここでは、ハーバード大学の研究結果を紐解きつつ、コミュニティの多様な形態とそのメリット、そしてこれからの時代におけるコミュニティと幸福の相関関係についてご案内していきたいと思います。

健康で幸せな人生を送るために必要なのは「よい人間関係」

他者とのつながりが幸福感に大きく影響を与えられているな、と思うことはないでしょうか。ハーバード大学が75年以上にわたり行っている成人発達研究によれば、良好な人間関係が人々の健康と幸福に強く結びつくことが示されています。この研究は、家庭内の絆や友人関係、さらにはコミュニティなど、あらゆる「つながり」が人々の精神的・肉体的健康を向上させる力を持つことを明らかにしました。

コロナ禍で人と会えないことでどこか気持ちが暗くなったりされた経験もあるかと思います。私たちはあらゆる「つながり」の中で生きていて、その結果として幸福がもたらされている、ということを知ることもこれからの今後の人生においても重要になると思います。

コミュニティの種類は2つある

では、コミュニティとはどのような形をとるのでしょうか。一般的に、コミュニティは自律分散型と中央集権型の大きく二つに分けることができます。

「自律分散型コミュニティ」は、個々の参加者が自主的に活動し、柔軟に役割を果たすことが特徴です。これはオンラインフォーラムや趣味のサークル、地元住民による自主運営の団体などが例として挙げられます。この形態の大きな利点は、参加のハードルが低く、多様なバックグラウンドを持つ人々が気軽に関われることです。

一方、「中央集権型コミュニティ」は、特定のリーダーや組織が中心となって活動方針を決定し、参加者を導く形です。自治体による地域振興プログラムや企業が主催する地域貢献活動などがこれに該当します。この形態は、明確な目標達成に向けて効率的に活動を進めることができるという強みがあります。

 どちらが良い、悪いではなく、どちらの形が自分にとって心地よいのか。ずっといることができるのか。自分にとってどうなのかを軸として選択することが良いと考えています。

コミュニティに関わることで得られるメリット

ではここでコミュニティに関わることで得られるメリットについても整理していきたいと思います。

まず1つ目に、心理的満足感の向上です。他者と共に活動することで得られる連帯感や達成感は、個人の自己肯定感を高め、ストレスを軽減します。個々の力が集まると大きな成果を生むことが多く、その一員であることは大きな自信につながります。

次に2つ目として、スキルや知識の交換が挙げられます。コミュニティ内での交流を通じて、新たなスキルを習得したり、有益な情報を得ることができるため、自己成長にも寄与します。また、異なる世代や背景を持つ人々との交流は、柔軟な考え方を育む土壌ともなります。

最後に3つ目として、ネットワークの拡大です。多様なつながりは、新たなビジネスチャンスやキャリアアップの糸口となることがあります。また、いざという時に頼れるネットワークを持つことは、安心感が得られます。

幸福の鍵はどこにあるのか


これからの人生100年時代、私たちの幸福の礎としてコミュニティの役割はますます重要になると考えられます。ハーバード大学の研究が示すように、他者とのつながりは私たちの幸福度を高め、健康にも寄与します。

しかし、コミュニティはただ存在すれば良いものではなく、個々人が意識的に関与し、育んでいくものであるべきです。私たち一人ひとりが主体的にコミュニティの一部となり、互いに支え合うことで、より豊かで充実した人生を送ることができると思っています。幸福の鍵は、意識的なつながりの中にあるのではないでしょうか。

【記事】古川まみ(コミュニティマネージャー)
 幼少期より地域コミュニティにどっぷり浸かり、人とのつながりを通して社会や地域が発展していく様子を見て育ったため、人を繋いでいく場所の構築に人一倍興味を持つ。大学や社会人になってからもコミュニティ運営やコミュニティ立ち上げに従事。1000名規模のコミュニティ運営やイベント企画運営を実施。好きなものはカープ。熱狂的なファン。
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