「生きる力」を食卓から――自分で選ぶ食事が育む生きる力|HAPPY WOMAN ACADEMY

はじめに:食事の時間が持つ教育的価値

子供が離乳食や幼児食を親から、食べさせてもらってる光景、まるで雛鳥が口をぱくぱく開けて餌をもらうように、小さな子どもが親から離乳食や幼児食を食べさせてもらっている姿を見ることが、しばしばあります。

あるデンマークに留学中の友人から、食事を選択する行為が、いかに自尊心や選択能力を育むかを改めて考えさせられたという話を聞き、今回は、食事をするという時間にどれほど「生きる力」を育む可能性があるのかを考察します。

人に食べさせてもらう経験と気づき

エグモントフォルケホイスコーレって聞いたことありますか?
デンマークにある高校卒業後、誰もが社会に求められるスキルを学ぶのではなく、自分の興味関心にしたがって学ぶことができる学校です。

その学校は、試験や成績がなく、入学資格も特になく、試験や成績もないという 通常日本人がイメージする学校とは全くかけ離れたアプローチをしているそうです。
そこへ留学している友人の日々レポートを楽しみに読んでいるのですが、今回取り上げたいのは、彼女が、「人に食べさせてもらう」体験をしたときのお話です。

彼女が体験したのは、「手が使えない状況で人に食事を食べさせてもらう」という体験でした。
少し、想像してみてください。

2人ペアになって あなたが、手の不自由さを失い、もう一人の相手に食事のサポートをしてもらう。食事は、バイキング形式。

まず、相手に食べたいものを言葉でしっかり伝えながら取ってもらう。この野菜をこれくらいの量をとってほしいとか、量やソースをかける食べ物の場合、かけ方も気になるかもしれません。すでに、食事を取ってもらうのも一苦労です。

食事をとってもらうのをオーダーする事を想像しただけでも不自由を感じてきませんか?

次に、食べさせてもらう姿をイメージしてください。

まず、何から食べたい?と聞かれ、欲しいものを伝えて、それがあなたの口に、パートナーのペースで運ばれてくる。
次に欲しいものを伝えて、パートナーの手で自分の口に運ばれてくる。相手は思い通りのスピードではとってくれないし欲しい量すら、わかってくれないかもしれません。

・一口の量
・次食べさせるタイミング
・食べる順番 
・袖をまくってほしい
・髪の毛を耳にかけてほしい
・鼻がかゆい
・水が欲しい

上げたらキリがありませんが、選択の連続です。
ああ、自分の手を動かして口に運ぶことができたら、どれほど楽なのにという感想を私は持ちました。
自分の食べたいタイミングで、食べたいものを食べられない気分が少し想像できたでしょうか?

「いろいろ考えながら食べてたら、食べた気が全くしなかったし、自分で自分の食事をとれることって、当たり前のことではないんだと感じた。」と友人は言っていました。

食べるという単純で当たり前になっている作業には、すごくたくさんの選択が起きている。
その選択の自由が奪われたとき、どれだけのストレスを感じるのか。

普段何気なく行っている当たり前のことは、これほど、「自ら選ぶ」ことの連続で成り立っています。

BLW(Baby-Led Weaning)の取り組み

BLW(Baby-Led Weaning)のアプローチをご存知ですか?
食べる量・ペース・順番などを赤ちゃん自身が決める方法は、このような呼び方はされてなくとも、日本語でわかりやすくいうと、「手づかみ食べ」です。

赤ちゃんが自ら食べ物に手を伸ばし、食べたいものを選んで食べる。たったこれだけのことなのですが、高い幼児教育に連れて行く前に、日常の中でできる「生きる力」を育む学びです。たとえば、色々な野菜や食べ物(もちろん彼らが食べることができるもの)をテーブルに並べて、どれを選ぶかを彼らに任せる子どもたちは早い段階から「選んで口に運ぶ」楽しさを感じ取ることができます。

こんな当たり前のことなのですが、意外にこのシンプルな体験を奪われている赤ちゃんをよく見かける気がしてなりません。

「選ぶ力」がもたらす可能性

しばしば、大人たちは、食事中のマナーや栄養価を気にしすぎたり、服が汚れる、床が汚れるのを気にしすぎたりしがちです。けれども、そんなことは、人間の一生のスパンで見たらほんの一瞬だと思うのです。選ぶことを奪われて育った子どもが、好きなことやりたいことを堂々と選べるのかなと少し不安になることがあります。

子どもたちが自分の意思で選び、試行錯誤して食事を楽しめる環境を大人が提供することは大袈裟ではなく、自分の力で何かを選ぶ人間を育てる小さいけれど大きな一歩ではないでしょうか。

子どもたちが「自分にも何かができる」という感情を持つことにもつながりうる当たり前だけど忘れられている体験かもしれません。

まとめ:子どもの「生きる力」を育むためにできること

今回私がこの話を改めて考えていて、思い出した言葉があります。

「自分がされて嫌なことは人にするな」

子どもは子どもですが意思を持った一人の人間です。大人も子どもらに、自分がされて嫌なことはしないという基準で考えて見ると案外、選択肢に迷わなくなるかもしれません。上手にできなくとも食事の際に自分で食べたいと手を出す意欲を、上手にできるまで奪われたらどうでしょうか。

どう生きるか、何をしたいかを自分で選ぶ力を育むためには、もちろんこぼしたり、一見失敗と思えることを大きく包み込める環境を提供できることが大切ですね。

増田ちか(子育て探究家/教育キュレーター/2児の母)
学生時代の海外経験を経て、万博での南米パビリオン勤務、ジンバブエ大使館勤務を経験。その後、12年以上にわたり人材育成の研修イベント運営・営業に携わる。出産を機にシュタイナー教育に出会う。より良い環境を求めて東京から長野県へ移住。現在は「これからの時代の生きる力とは?」をテーマに、次世代の子どもたちの自由な学びと生きる力を育む環境づくりに注力。
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